情けは無用
日本では「情けは人の為ならず」、つまり人のためにするのではなく、巡り巡っていつかは自分に返ってくるものだよ、だから、人には親切にしないとね、とよく言われる。
また、「お互い様」と見知らぬ他人とも融通をし合う。
しかし、ここ中国ではそれは通用しない。
文化も習慣も全く違う国である。
日本のように「情けは人の為ならず」としているとまさに、「軒先を貸して母屋を取られる」状態になるし、「お互い様」と他人に融通しても、相手をつけ上がらせるだけだからである。
というのも、中国人はあまり親しくない人にでも、“自分への利益”を提供するよう、平気で求めるからだ。
その状況については、過去記事参照。
またこの他にも、こちらに来て一年目の最初の国慶節休暇前のある日、突然見知らぬ番号から携帯に着信があった。
誰だろうと出てみると、辛うじて顔を知っているかな、程度の同じ講義を受講している中国人男子学生からであった。(つまりは友人でもない、全くの他人。)*1
そして、用件を聞いて驚いた。
私は一人で住むにはほんの少し広めの部屋に住んでいるのだが、それを誰かから聞きつけたらしく、
「国慶節休暇に田舎から自分の彼女が遊びに来るので、4日間、部屋に泊めろ」
といってきたのだ。
つまりは、顔しか知らない中国人の、更に一切面識のない全く赤の他人の彼女を、私の部屋に泊めろと????
ハア?!(゚Д゚;) なぜ?! そんな義理、一切ないし!!!!
本気で呆れて、しばらく物が言えなかった。
ようやく言葉が出てきたが、断っても断っても、「寝るだけだから」と言って譲らない。
(中国人って、すぐ「寝るだけ」っていうんだけどどうして?「寝るだけ」でも、赤の他人と過ごすのは普通に嫌だし!)
マジで、ハア?! 耳聞こえてるー?!( ゚Д゚) 状態。
アンタたちはいいよ、日本人は他人に危害を加えることはないし、身元確認の厳しい中国の大学の留学生だから、私の身元は確かだし、彼女の身の安全は保障されてる。
しかし、逆は?
- 私の身の安全は?
恐らく、その男子学生の身元は確かだよね、それは理解できる。
- でもその“彼女”って何者なのよ?
- 私の身の安全は、誰が保証してくれるの?
- (絶対に泊めないけど)万一泊めたとして、もし物が紛失したりトラブルが起きたら、誰が責任を取るの?
誰も取らないでしょ?
- 大体、赤の他人の中国人女性と、どうやって過ごせというのよ?
すぐにでも頭に浮かぶ数々の疑問を、相手が何一つ解決してくれないのはすぐに理解できた。
だからあの手この手で断っているのに、絶対に折れない。更には、
「寮の阿姨(寮母)さんに確認を取れ」
とまで言ってきた。
なぜそこまでしなければならないの?
第一、私本人が泊めたくないと言っているんだよ?
私の意志は関係ないの?
図々しいにもほどがあると腹が立ったし、心底ウンザリしたが、ふと思い立って、
「わかった。確認してくるから、またあとで連絡する」
と言って電話を切って、15分後、
「阿姨さんに確認を取ったところ、私の住んでいる寮は留学生専用なので、規則により中国人は泊めることはできない、と言われた」*2
と連絡したら、すんなり引き下がった。
何なんだよ、マジで。(-"-)
っていうか、田舎からわざわざ出てくる彼女にホテル代も負担してあげられないなら、呼ぶなよ!ケチ臭い。('Д')
そして数日前。
同様の相談を日本人留学生から受けて、笑ってしまった。
親しくもない外国人に、よく頼むよね。
「情けは無用、きっぱり断って良し!」
と回答したけど。
断らないと、何度も同じ目に遭ってしまうもの。
情けをかけるだけ、日本人が損をする。
あれ~?!これって、外交とも似てないか???
やっぱり、日本の「察する文化」「言わなくても通じる文化」は、日本国内に限ってのことだよ。
海外では、何でもハッキリ言いましょう。
嫌なこと、理不尽なことには「No!」と、バンバン言いまくりましょう。
我慢をすればするだけ、自分が辛くなって自分自身が崩壊・破綻してしまう。
情けは無用、であります。