辞め時を悟った時
私が捕まったのは、外国人経営者のブラック企業(小企業)でした。
出勤第一日目に、ブラック社長より「労基法を守るつもりはない」とハッキリ言われ、すぐに入社を後悔しました。
労基法が守られなかったのも辛かったのですが、それ以上に私が辛かったのは、私の良心に反することを業務上、やらされていたことです。
私は自分で言うのも何ですが、小心者です。
嘘も上手に吐けないほどの小心者です。
その私が、良心に反することを毎日のようにやらされました。
業務上、させられていたことではありますが、嫌で嫌で堪りませんでした。
毎日、「私は一体何のために働いているのだろう」と、泣きながら帰宅していました。
とはいえその業務は、ブラック企業では誰も全く気にしていないばかりか、問題にすらしていないことでした。
勿論、どう見ても誰が見ても、良心に反することです。
しかし、そのブラック企業では、それが何の問題もない“通常業務”とされていました。
私はそんな環境を異常だと感じ、毎日後悔と罪悪感でいっぱいでした。
ところがある日、
「これは私の良心に反することではあるが、業務上させられている仕方のないことだ、サッサと済ませよう」
と思っている自分に気付き、そんな自分に恐怖し、絶望しました。
もう無理だと思いました。
あれほど嫌悪感と罪悪感を感じていた業務に、慣れてしまった自分を発見したのです。
私はこのままでは神様に嫌われてしまうし自分で自分を嫌いになる、と心の底から怖くなりました。
そして、金銭的に不安はありましたが、辞めることを前提に少しずつ行動を始めました。
まあ、その矢先パワハラを受け、本格的に心身がダメになってしまったのですが。
しかし今の私は、少なくとも良心に反することをせずに暮らすことができています。
自分を嫌いになる前に、あそこから抜け出すことができて良かったと思っています。