みみずくDiary in China

中国留学中のみみずくによる普段着のChina徒然日記

私の好きな中国人

お気付きかもしれないが、実は私は、中国人がそこまで好きではない。

多分教育や文化の違いから来る違和感が大きいからだと思うが、大抵の中国人は中国語が上手く話せないアジア人を徹底的に見下すし、常に上から目線でしか物を言わないからだ。

しかも、立派な職業に就いていてどんなに信頼ある人にでも、大抵の場合裏切られる。

私は、「〇〇人だから△△」と定義するのは嫌いではあるが、悲しいかな中国人は型にはまった人が多いのだ。

 

そんな中で、ずっと付き合いのある中国人もいる。

彼女は私が「中国のお姉さん」と慕う人物で、同じ中国人からも大変慕われている、所謂“アネゴ”気質の人だ。

知り合ったきっかけは、共通の日本人の友人を介してである。

思えば、彼女とは恐らく十年近い付き合いになるのではないか。

その間、彼女はずっと変わらず誠実で愉快で気風が良く、そして綺麗な人だ。

その彼女がとうとう自分の部屋を買い、改装を終えて最近引っ越しをした。

 

「新居に移ったら遊びに来てね!」

「もちろん!誘ってよ!!」

とのやり取りの後、先日お招きいただいて新居にお邪魔してきた。

彼女の性格にもよく合う、とても静かで清潔で小ぢんまりとして、でも活気のある街の一角に、彼女の新居はあった。

アパートの隣は幼稚園で、子ども好きな彼女は恐らくここが気に入ったんじゃないかな、と思った。

目の前には八百屋さんや果物屋さんが軒を連ね、仕事の忙しい彼女も、きっと生活には不自由しないんじゃないか、とも思った。

 

部屋に着くと、彼女のご両親が温かく迎えて下さった。

「両親は方言話すから、みみずくはわかんないかもね」

と彼女は笑って言っていたが、とても優しくて誠実な、彼女によく似たご両親は、初めて会う外国人の私にも、分け隔てなく接して下さった。

彼女のお母さんの作って下さった家庭料理はどれもとてもおいしく、そして愛情に溢れていた。

口数少ない彼女のお父さんも、寒くないかな、暖房を点けようね、もっとたくさん食べてね、などと始終気遣って下さった。

久々に温かい家族団欒に触れて、ああ、彼女がこんなに天真爛漫で優しく育ったのは、ご両親のお人柄と子どもたちに見せてきた姿が素晴らしかったからだ、と痛感した。

 

子どもたち、という表現でお気づきだとは思うが、実は彼女はひとりっ子ではない。

ひとりっ子政策が実施される少し前に生まれた彼女には、弟さんがいる。

その弟さんは大学卒業後、北京で起業して成功しているが、彼女はずっと変わらない。

弟の成功にも驕ることなく、相変わらず朗らかに仕事をこなしている。

 

考えてみると、私は彼女にずっと助けられてきた。

こちらに来て辛い時、堪えきれず彼女の部屋に泊まりに行ったこともある。

彼女は何も言わず、黙って招き入れてくれて、そのまま何日も何日も泊めてくれた。

あまりにも居候しすぎて、さすがに図々しさに耐えきれず部屋を後にしたとき、せめてものお礼にと日本円を置いて行ったことがある。

すると、気付いた彼女から携帯に何度も何度も嵐のように着信があり、

「どうしてこんなことをするのだ!そんなつもりで泊めたのではない!」

と怒られたこともある。

事情を説明しても納得してくれず、次に会った時に返すからとまで言われたのだが、それでは私の気が治まらないから、返すのであれば会えない、と言って渋々受け取ってくれた。

 

今思い返してみても、彼女の部屋に居候していた日々は、私のとても大切な宝物である。

同じ部屋に布団を並べて、眠りにつくまで他愛のないおしゃべりをする時間は、修学旅行の延長のようで、また彼女と姉妹になったようでとても楽しかった。

あの日々を思い出すだけで、心が幸福で満たされる。

 

そんな彼女が部屋を買った背景には、中国の難しい社会問題がある。

「結婚難」である。

極端な男児優遇で性別不均衡の激しい中国では、本来ならば数の多い男性の方が結婚難、つまりは非婚や未婚問題に直面している。

しかし、都市部に至っては女性の方がこの問題を抱えているのだ。

キャリアを積む女性は出会いも少なく、そしてそのような女性は男性に敬遠されがちだ。

恐らく彼女ももう結婚をあきらめ、おひとり様生活を続ける覚悟を決めたのだろう。

 

私とて、国は違えど彼女と同じ問題に直面している。

彼女の状況は決して他人ごとではない。

彼女と私は、性格は違うけれど、置かれた状況がとても良く似ているのだ。

 

だからこそ、そのように困難な中にあって常に朗らかで人を惹きつける彼女に、ずっと憧れているのかもしれない。

私も日本に帰っておひとり様生活を始めたら、新居には必ず彼女を招こう。

 

彼女は私の好きな中国人だから。