みみずくDiary in China (だった)

中国留学からニッポンに帰国したみみずくによる普段着の徒然日記

「わたし」である時間

気付けば、かなり長い間引きこもっていた。やはり気が滅入るし、身体にも良くなのではとも思い、久々に外に出た。

大気汚染も酷いし、何より寒いからマスクつけて、ニット帽被って。

地下鉄で何人かの日本人を見かけたけど、誰も私のことを日本人とは気付かない。

地下鉄で隣合わせた中国人と雑談しても、誰も私のことを日本人とは気付かない。

お腹が空いて入ったレストランで中国人カップルと相席になった際、その隣のテーブルで日本人ビジネスマンが商談をしていた。

「隣り、日本人だね」と言われたけど、私のことは「大陸人っぽくないから、香港人?それとも台湾かな?」と、日本人とは思われない。

ふらっと入ったお店で店員さんと雑談した時も、しばらくお喋りをして、「もしかして香港人?マレーシアかな?いや、シンガポール?」

街中ですれ違った日本人も、今日本人とすれ違ったことに気付かない。私は気付いているのに。

こちらに来てから、”日本人”であることが重荷になったことがあった。嫌な思いをして憤ったこともあった。辛くて泣いたこともあった。

「もしかして外国人?」と聞かれて、素直に「日本人だよ」と言えなくて、苦しかった。

”日本人”であるだけで罪人のように扱われることに、そしてそれがここでは「当たり前」であることに、どうしても耐えられないこともあった。

「日本人に生まれたのは私の責任じゃない!」と叫びたいこともあった。

でも今日は、誰も気付かない。

日本人の私なのに、誰も、気付かない。

「日本人の私」を背負わなくて済んだ今日が、なに人でもない、ただの「私」でいられた時間が、とても心地良かった。

中国で、日本人として生きる。

これってやっぱり、私にとってはある種の挑戦であり、しかしそれよりもずっと重要な、乗り越えるべき意義深い試練なんだな、と改めて思った。

「わたし」でいさせてくれた今日と時間に、感謝!