みみずくDiary in China (だった)

中国留学からニッポンに帰国したみみずくによる普段着の徒然日記

キッチンから徒然思考

怪しいムスリム(笑)のパキスタニーと朝、よく共用キッチンで一緒になるので話す機会も多いのだが、いつも思うのは「旧英国植民地の人々って不思議」ということである。

彼らは、独特の訛りの強いパキスタニングリッシュを話し、イギリスの習慣である紅茶を毎日飲む。

今日、話のついでに「生活習慣の中にイギリスの影響があることをどう思うか」と聞いたら、大層誇らしげに「そうだ、イギリスの影響だ!」と答えてくれた。('Д')

解説すれば、私は中国語で質問し、パキスタニーは英語で話す、と言うのが私たちの最近の会話スタイルだ。

元々英語だけで会話していたのだが、このパキスタニーは「自分は中国語がわかる」と常々自慢げに言っているので、最近中国語で話しかけているのだが、多分ほとんどわかっていないんだね。だからきっと中国語がわかんなかったのだろうけど、不思議だ。

イギリスの植民地だったことは、彼らにとって誇りらしいのだ。私はてっきり、悔しい歴史だと思っていた。

だって、独自の言語を持っているのに、いまだに英語でしか高等教育が受けられないなんて、それだけ母国語による教育水準が低い、ということじゃないのか?

私がこう思うのには、理由がある。

以前某イギリス連邦加盟国(つまりは旧英国植民地)で研修を受けた時、日本についての質問をたくさん受けた。

そこで英語の必要性についても聞かれたので、「日本の場合、海外研究を含めた各分野で日本語による研究蓄積があるので、最先端研究を始め、ほぼすべての学問領域で日本語だけで高等教育が受けられる」というと、皆が一様に羨ましがったのだ。

彼ら曰く、

「私たちには固有の言語がある。しかし、その言語で作られた教科書はない。英語で書かれた教科書しかないので、小学校から英語を勉強しなければならない。高等教育を受けたければなおさら、英語を学ぶ以外に方法はない。母国語で教育を受けられないのは、大変な屈辱だ」

と。

同じイギリス連邦でも、やはり民族によって考え方は様々なんだな。

もちろん、彼らは英国植民地時代について、ネガティブな部分もポジティブな部分も持っている。しかし教育については、「母国語で教科書を作り、母国語で教育を受けられるようにするのが夢だ」と繰り返し語ってくれた。

これは、上述のパキスタニーとは全く逆の考え方である。件のパキスタニーを始めとする印パ系の同学たちは、「北東アジア人は英語ができない」と言うのを、常々苦々しく、時にある種の軽蔑をもって語るからだ。彼らはパキスタニングリッシュだろうがヒングリッシュだろうが、英語を話せることをとても優位に思っている。私から見れば、英語が話せないというのは、それだけ北東アジアの教育がある意味進んでいるからじゃないのかな、と思うのだが。

確かに、母国語で教育が受けられなければ、英語が苦手だというのは即ち高等教育を受ける機会を失うことを意味する。というか、義務教育さえその内容がイマイチ理解できないまま、ということになる。

つまり、母国語以外でしか教育を受けられない場合、

  • 教科書に何が書いてあるのか、読めない・わからない
  • 先生の話す言葉がわからない

という問題が出てくるのだ。

母国語で教育を受けられる、と言うのはやはり恵まれたことなのだ。

母国語以外でしか教育を受けられない場合、教育を受ける機会はあったとしても、その効果が簡単には望めず、確かに国力は簡単には向上しない。

国力が簡単には上がらないということは、植民地のままで宗主国の庇護を受けないと国の運営自体が難しくなるから、おいそれとは独立できない……。これって負のスパイラルっぽくないかい?!

これが植民地政策の狙いのひとつでもあったのだろうか。…ひょえ~!さすが大英帝国、やることがいちいち合理的というか、打算的過ぎる!グレイトなブリトゥンだよ!!( ゚Д゚)

植民地と言えども、「経営」という面から見れば、利益を出さなければならない。少ない投資で大きな利益を得るのがつまり、植民地経営なのだろうから。

宗主国による植民地の支配構造って多分こんなに単純ではないとは思うんだけど、ちょっと考えただけでも、こんなことが思い浮かぶ。ということは、実際はもっともっと複雑で搾取的なんだろう。

な~んてことを、朝っぱらからヘラヘラ考えたのでありました。(=゚ω゚)ノ

 

あ、余談だけどこのパキスタニーは日本のことをJapanでもRiben(「日本」の中国語発音)でもなく、「イルボン」って言うよ!

「イルボン」って日本の韓国語発音だけど、この同学、何度説明してもいまだに日本と韓国が別の国ってわかってないから、多分「イルボン」がJapanだって知らない可能性があるのだ。(;´∀`)