辛苦で幸福
先ほど指導教官との面会から戻ってきたが、私の論文、遅々として進まない!
というのも、私がやっている分野が中国で文系最難関だというのもある。
しかし最も手強いのは、指導教官である。
留学生相手にも絶対に妥協せず、中国人学生と同じレベルを要求する。
これって、欧米では当たり前のことだけど、アジアではちょっと違うような…。
私が日本で大学院生をしていた頃、中国人留学生が凄く凄く羨ましかった。
適当に勉強して(っつうか、ぶっちゃけしていない)、論文は指導教官の論文に連名させてもらって本数を稼いでいる人もいたし、論文審査の基準も日本人に比べ甘々だったから、日本人学生が3年では取れない学位も、きっちり3年で取って帰っていた。
ちなみにそのような留学生は、日本人学生に比べても、失礼だが取り立てて優秀でも何でもない、極めて普通の学生である。
まあ、日本で留学生は「日本政府がお金をあげて勉強させているお客さん」だから、早く帰ってもらうことに越したことはない。
でないと、日本の税金=奨学金で延々居座られても困っちゃうからね。
こっちの場合は完全に逆である。
留学生がお客さんであることに違いはないのだが、「お金を払ってくれるお客さん」であるので、長く居てもらった方が良い。
その間、学費や寮費、生活費などで外貨をふんだんに落としてくれるからだ。
ちなみに、留学生と中国人学生とで学費も全然違う。留学生は、中国人学生の3~5倍の学費を支払っている。寮費も同様で、同じ寮の同じ間取り、設備の寮なのに中国人学生の4~5倍の料金を支払わなければならない。
しかも、中国人学生には「助学金」制度があり、学費免除や援助金支給など、金銭面では全く心配がないどころか、お金をもらって勉強しているのが普通だ。
日本なんて、私立は知らないが国立の場合、留学生は免除申請すればすぐ学費免除になるでしょ?待遇が全然違うわ!!
日本政府も、留学生を優遇するより、奨学金という名のローン*1を廃止してまず国内の日本人学生を優遇し、次に海外に留学する日本人学生の支援に本腰を入れた方がいいと思う。
私の周りには、日本の税金=奨学金で日本に留学し、学位を取った人が少なくないが、ほとんどの人が日本に恩義なんて露ほども感じていない。ぶっちゃけ、ゼロだよ、ゼロ!
これに関しては、過去記事参照
そればかりでなく、たった3~4年留学しただけで日本のすべてを知っているかのように振る舞い、日本に関する間違った知識を吹聴して回っている人の方が多い。
絶対に、海外に出ている日本人学生を支援した方が、将来の日本のためにはなると思う。
まあ、話は戻るが、私の場合。
こちらに来て、最難関の分野にゼロから挑戦しているので、それだけでもうアレなのだが、指導教官も妥協を一切許さない。よって、他の留学生と違い「外国人特権」が使えない。
他の留学生の書いたものを見せてもらうと、「…ほう…」と思ってしまうこともしばしばである。
しかし考え方を変えれば、私は中国人学生と全く同じ条件でこちらでの研究に挑んでいる。これって、辛いけれど幸せなことなのだ。
だから、堂々と胸を張って「中国に留学しています」と言うことができる。
辛苦(xin ku)で幸福(xing fu)。辛くて幸せ。
*1:これ、名前がよくないよね。どこをどう見ても、「奨学金」ではない。
「奨学金」というのは、返済不要の給付型だから“奨学”するお金、であって、返済が必要ならばそれはすべて「ローン」である。
日本人には「奨学金=ローン」の癖に、外国人留学生の給付型「奨学金」にも同じ「奨学金」という名称を使う。これってはっきり言って詭弁だ。即刻止めてほしい。