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みみずくDiary in China

中国留学中のみみずくによる普段着のChina徒然日記

内政干渉だろ?

11月29日は、台湾の統一地方選挙投票日であった。


台湾で与党・国民党大敗 統一地方選、馬政権に不信 :日本経済新聞

私は元々台湾人の友人の方が多く、現在も多くの友人が台北を始めとする台湾各地に居住している。

数日前からFBがこの地方選の話題一色であり、台湾国民の関心度の高さがうかがえた。

ところで、日本ではあまり認識されていないように感じるが、中国と台湾は政治体制が全く異なる。

中国と台湾

中国大陸に近い島という立地条件から、列強各国の権威掌握のための適地と見なされ、オランダやスペインの植民地を経験している。

その後、漢民族の支配を経て、1895年から1945年まで、50年に及ぶ日本統治時代を経験している。

とはいえ、台湾を利用するだけ利用し、搾取するだけだったオランダとスペインの植民地時代、そして本土から腐敗や堕落を持ち込んだ漢民族の支配と比べ、日本統治時代は大変ポジティブに捉えられている。

日本は秩序と教育、インフラを台湾にもたらし、事実、製糖技術など様々な先進技術が日本統治時代に台湾に持ち込まれ、現在の台湾産業の基盤となっている。

第二次大戦後、国民党が中華民国として台湾を引き継ぎ、日本統治時代は終わりを告げるが、今でも日本統治時代を懐かしむお年寄りが多く、また、国民党による政治の掌握を快く思っていない台湾人も多い。

「本省人」と「外省人」

台湾には、元々台湾に居住していた原住民と、その後やってきた漢民族とその子孫、そして20世紀初頭に国民党と共に中国本土からやってきた中国人とその子孫がいる。

元々の原住民と最初にやってきた漢民族の子孫を「本省人」といい、国民党と共にやってきた中国人の子孫を「外省人」という。

日本に親しみを感じてくれているのは、「本省人」たちであり、私の友人も全員が「本省人」である。

「台湾人」というアイデンティティ

そして、これは台湾人の友人たちが私に教えてくれたのだが、台湾には、ひとつの家族に3つの世代が暮らしているそうだ。

それが、自己認識が

  • 日本人:祖父母世代。日本統治時代を経験、日本人として教育を受ける。
  • 中国人:父母世代。国民党支配下で中国人としての教育を受ける。
  • 台湾人:自分たちの若い世代。台湾人としてのアイデンティティを持つ。

の3つの世代である。

元々民族によって言語の異なった台湾で、日本統治時代に教育が持ち込まれ、そこでようやく共通言語としての「日本語」がもたらされ、他民族とも意思疎通が可能になった。その祖父母世代は今でも自分を「日本人」と自認している人も、少なくないという。

その後、中華民国として台湾が独立すると、大陸からやってきた国民党が大陸式の教育を行い、学校教育で地理や歴史も大陸のことしか勉強しなかった。

教科書には日本に対するネガティブなことばかり書いてあったが、実際に日本統治時代を経験した世代が家庭内にいて、日本のポジティブなことを聞いてよく知っているので、日本に対する嫌悪感はない。

とはいえ受けた教育により、父母世代は「中国人」と自認している。

しかし、自分たち若い世代は、国民党支配の世代にあって、しかし家庭内で日本統治時代がどれだけ豊かであったかなどを実際に聞いて育ち、自分たちは中国人とは違う、「台湾人」なんだ、という新しいアイデンティティに目覚めている世代だ、と。

彼らは、やっと持ち得た「台湾人」としてのアイデンティティに強い誇りを持ち、国際的にもかなり弱い立場にある台湾を、何とかして支えたいと考えている。

中国とは政治システム自体が全く異なるので、中国の一部になりたいとは考えていない。

「中国」と「台湾」

中国と台湾は、確かに全く別の国である。

私が何故こう言い切るのかといえば、それは「パスポート」にある。

もし同じ国であれば、パスポートが同じはずなのだ。

しかし、中国と台湾は、パスポートの色からして違う。(中国は赤、台湾は緑である。)

また、民主化されている台湾は、中国と自由に行き来できるが、中国の場合、台湾と自由な往来はできない。それに、台湾人も中国人も、互いに往来する際にはパスポートと「通行証」がいる。

同じ国だったら、これらは要らないでしょ。

それに、政治システムが全く異なるので、中国には「選挙」自体が存在しない。

中国人には元々参政権がないのに対し、台湾人には参政権があり、選挙が行われている。

どう考えても、同じ国とは見なせない。

 

しかし、である。

 

中国版LINEのWeChat(中国名:微信)は、台湾のこの統一地方選の話題で持ちきりである。

はあ?

おいそれと簡単に台湾に行ける訳じゃ無し、しかもアンタ方には投票権すらないでしょうに。

そう思うのだが、ある中国人同学は「何やってんだよ国民党、こんなにたくさん落としやがって!」との叱責メッセージをわざわざ投稿していた。

(しかもアンタ、大学内の共産党員だろうが)*1

…だからそれ、内政干渉でしょうが。

教育って怖いな。

パスポートと通行証がないと行けない国なのに、「同じ国だ」と教育を受けて育っているから、自分の考えが内政干渉とも思わないのだ。

そして、彼らの興味は常に内向きで、海外が自分たちをどう見ているのかには、露ほどの興味もない。よって、現在中国がどのような面で世界から批判されているのか、大学院生にもなって何一つ知らない。

 

彼らが知るのはただひとつ、「偉大的中国」のみである。

 

この手の話題が上がるたびに、台湾の友人たちが置かれている厳しい状況に思いが至ると同時に、この国の暗部を見た気になる。

 

日本のことを「覇権主義」や「帝国主義」と痛烈に批判する同学たちよ。果たして、どちらがそうなのかな。

*1:中国では、大学内にも共産党組織があり、学生部と教職員部がある。

学生でも、良い就職先が欲しいのであれば、党員になる必要があり、教職員も、出世コースに乗りたいのなら党員になるのが普通である。特に大学教授で非共産党員は極少数派で、ほとんど全員が党員である。